すてきな天使のいる夜に〜2nd Sstory〜
仕事を終えた俺は、沙奈の病室に向かおうとしていた。
「紫苑、少し話をしてもいいか?」
後ろから声をかけてきたのは大翔だった。
「もちろん。院内で話すか?」
「ああ。お昼に行ったきりで、沙奈の顔を見に行けてないからな。」
「そうか。」
俺も、昼休みの時から沙奈の顔を見に行けていなかった。
それから、俺達は小会議室に向かった。
「沙奈の事なんだけど…」
「ああ。」
「喘息の発作のコントロールは出来てきているから退院日を決めたくて。
いつぐらいがいいかな?」
「明日でもいいか?
一日でも早く、沙奈を家へ返してあげたいんだ。」
「分かった。
明日、退院できるように準備を始めるよ。
それから、沙奈には退院前に栄養指導を受けてもらおうと考えているんだけどいいかな?」
「沙奈の栄養状態は著しく悪いからな。
入院して、人工呼吸器で繋がれている期間もあったから余計に…」
「沙奈には、紫苑や翔太が家で診てくれているから大丈夫とは思ったんだ。
だけど、やっぱり専門の人に指導もらった方がいいと思って。」
たしかに、俺達がいない間沙奈はきっとろくに食事をとっていないだろう。
元々『食』に興味がないことを知っていた。
よっぽど空腹になるか、命の危機を迎える直前まで食べ物を口にしようとはしない。
植物を口にしようとしていたくらいだったからな。
「分かった。栄養面のことは俺も心配だったんだ。
管理栄養士の話を沙奈自身が聞くことが出来れば、1人の時もきっとちゃんと食事をとってくれると思うんだ。」
「そうだな。
それから、沙奈の父親のことなんだけど…」
「ああ…」
父親のことは、あの時以来沙奈に何も聞いては来なかった。
壮絶な過去を聞くことは、沙奈にとっても辛いことだから。
時期を見ながらでないときっとまだ話すことは出来ないと思う。
きっと、大翔が聞きたいのは父親がこの病院に沙奈が通っていることを何で知っているのかということであろう。
俺も、よくは分からない。
沙奈がここに通っているのは最近の出来事だったし、沙奈がゴミ置き場にいた時も俺はここの病院には連れて来ていない。
父親が監視していない限り、ここの病院に通っている情報が出回ることも無い。
ここ最近は、患者の情報管理も厳しくなったくらいだ。