祈る男と渇いた女
二人が出会って半年もすると、少しの時間を見つけては、浜辺で一緒に散歩をしたり、食事をしたりしてデートを楽しみました。
そんな幸せな二人でしたが、一年たってもまだお互いの気持ちを打ち明けられずにいました。
祈る男も自分の過去に後ろめたさを感じ、渇いた女も自分の悲しい過去を引きずって乗り越えきれずにいました。二人は生まれ育った境遇は異なれども、自分を愛せないという点では似たもの同士だったのです。
悲劇
ある日、祈る男は思いました。
確かに自分の過去は親不孝な情けない過去だったけど、今は改心して愛と祈りを心の柱として生きている。もし彼女に過去の全を話して嫌われら、その時は、彼女から身を引こう。酷い生き方をしてきた報いだと思って神さまの罰を受けよう。
でも……無理に白黒はっきりさせるより、彼女と今のままの関係でいるほうがいいのだろうか……。
祈る男も渇いた女もお互いに愛し合っていたのに、過去にこだわり過ぎて自分を愛し自分を信頼出来ないばかりか、お互いを信じ切ることも出来ないでいたのです。
時は無駄に過ぎ、とうとう二人に悲劇が訪れてしまいます。
心の中では深く愛し合っている二人でしたが、ある日、祈る男が意を決して渇いた女に気持ちを伝えようとすると、渇いた女は祈る男の気持ちを察して恐れをなし、会ってはくれなくなりました。
渇いた女は過去の自分のことを悲観しすぎて心を閉ざしてしまったのです。
祈る男は何度も彼女をデートに誘いましたが、家や施設に引きこもったまま会ってくれません。
とうとうある日のこと、自分の忌まわしい過去の重圧に耐えかねた渇いた女は、町から姿を消してしまったのです。
祈る男は悲しみにくれました。
渇いた女がなぜ姿を消したのか理由は分かりませんでしたが、自分が彼女を追い詰めたのだと思い、自分を酷く責め、来る日も来る日も悲しみました。
姿を消した渇いた女は、遠い南の町に移り住み、その町の教会の施設で、介護の仕事についていました。
女は過去に怯え逃げ回り、彼の愛を受け止められなかった自分を情けなく思いました。しかも自分は愛される価値のない女だと激しく自分を責め、穢れた女だと嫌う気持ちは、ますます大きくなりました。
生まれてこなければよかった。
命なんていらない。
そんな幸せな二人でしたが、一年たってもまだお互いの気持ちを打ち明けられずにいました。
祈る男も自分の過去に後ろめたさを感じ、渇いた女も自分の悲しい過去を引きずって乗り越えきれずにいました。二人は生まれ育った境遇は異なれども、自分を愛せないという点では似たもの同士だったのです。
悲劇
ある日、祈る男は思いました。
確かに自分の過去は親不孝な情けない過去だったけど、今は改心して愛と祈りを心の柱として生きている。もし彼女に過去の全を話して嫌われら、その時は、彼女から身を引こう。酷い生き方をしてきた報いだと思って神さまの罰を受けよう。
でも……無理に白黒はっきりさせるより、彼女と今のままの関係でいるほうがいいのだろうか……。
祈る男も渇いた女もお互いに愛し合っていたのに、過去にこだわり過ぎて自分を愛し自分を信頼出来ないばかりか、お互いを信じ切ることも出来ないでいたのです。
時は無駄に過ぎ、とうとう二人に悲劇が訪れてしまいます。
心の中では深く愛し合っている二人でしたが、ある日、祈る男が意を決して渇いた女に気持ちを伝えようとすると、渇いた女は祈る男の気持ちを察して恐れをなし、会ってはくれなくなりました。
渇いた女は過去の自分のことを悲観しすぎて心を閉ざしてしまったのです。
祈る男は何度も彼女をデートに誘いましたが、家や施設に引きこもったまま会ってくれません。
とうとうある日のこと、自分の忌まわしい過去の重圧に耐えかねた渇いた女は、町から姿を消してしまったのです。
祈る男は悲しみにくれました。
渇いた女がなぜ姿を消したのか理由は分かりませんでしたが、自分が彼女を追い詰めたのだと思い、自分を酷く責め、来る日も来る日も悲しみました。
姿を消した渇いた女は、遠い南の町に移り住み、その町の教会の施設で、介護の仕事についていました。
女は過去に怯え逃げ回り、彼の愛を受け止められなかった自分を情けなく思いました。しかも自分は愛される価値のない女だと激しく自分を責め、穢れた女だと嫌う気持ちは、ますます大きくなりました。
生まれてこなければよかった。
命なんていらない。