王子と社長と元彼に迫られています!
その時、暁さんのスマホが鳴った。彼は苛立った様子でスマホを取り出し画面を見てから通話を始めた。冷静に仕事の話をしているのに目は紬くんを睨み付けたままだ。紬くんも彼から目を逸らさない。

通話が終わると暁さんは『悪い。話の途中だが、急ぎの仕事で。ちさ、またな。』と言って足早に会社に入って行った。

「・・・びっくりした。二人、知り合いだったんだね。」

暁さんが消えていった入口をじっと見たままの紬くんに声をかけてみる。

「うん。『新宿男子名鑑』っていう本があってさ。このビルからは僕と暁さんが掲載されることになってその時に会ったんだ。二人ともそういうの興味ないっていうかむしろ苦手なんだけど、編集者の人がこのビルに調査に来た時、同じ会社や他社の人が僕達のこと推薦してたみたいでさ。『こういうの困りますよね。』なんて話してたんだ。」

「へえぇ、そうだったんだ・・・。」

こんな目立つ二人が同じビルにいて、電車やカフェテリアでも一緒だったのに気がつかないなんて、私のイケメンアンテナはどうなっているんだろう。

「そんなことより・・・。」

「どえっ!?」

紬くんが突然私を抱き上げ、私の間抜けな声が展望室に響いた。

───ここここ、これは俗に言う『お姫さま抱っこ』ってやつじゃない!?現実(リアル)でも起こり得るなんて・・・!!しかも姫とは程遠い私がされるなんて・・・!!

体が宙に浮いて落ち着かない。足をバタバタして暴れて下ろしてもらおうと思うのに想定外の展開に体が固まってしまい動けない。『下ろして。』と言いたいのに口もイタリアの『真実の口』みたいに半開きの状態で固まってしまって動かない。
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