王子と社長と元彼に迫られています!
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紬くんが『ちぃちゃんが好きそうなお店色々探したんだ。その中のひとつ。』と言って連れていってくれた会社近くの可愛らしい隠れ家カフェで軽く食事を終えて、私の家に寄ってから彼の家に向かった。

外観も内装もお料理もまさに私好みのお店だったし、食事中、私の席暖房の風当たって暑いなと思ったら彼は気づいて店員さんに言ってくれたり、デザートについてきたクッキーがすごく美味しいなと思っていたら、帰り際私がトイレに行っている間に済ませておいてくれたお会計の時にレジで売っていたのを買ってくれていた。

こんな風に扱われるのはくすぐったいけれど嬉しかった。彼は年下ではあるけれど、それを感じさせないくらい私を包み込んでたくさん甘やかしてくれる。

柚香が言っていたように、こんなに私のことを想ってくれる人にまた出逢えるかなんてわからない。紬くんと恋人同士になったらきっと大切にしてもらえる、『大切にされたい。』なんて思ったことなかったはずのに、いざされるとその心地よさに浸りたくなってしまう。私は『恋の甘さ』というものを知ってしまったのかもしれない。

『紬くんと付き合う。』なんだかそれが少しずつ現実味を帯びてきているのを感じた。



紬くんの住むマンションは私の家の最寄り駅から6つ先の駅にあった。3階の部屋は1LDKで、LDKは10畳以上はあるであろう広さでブルーとホワイトを基調とした爽やかな雰囲気だった。

「わぁ、おしゃれ!パソコンがいっぱいある。」

「小学生の時からパソコンいじってばっかりだったから。」

「へえ、すごい。そうそう暁さんも・・・。」

言いかけて、引き抜きのことは勝手に言っては駄目だと口をつぐむ。

「暁さんも?」

「その、紬くんの才能はすごいって言ってたよ。頭も良さそうって。」

「そんなこと言ってくれてたんだ・・・彼の方がずっとすごいと思うけどね。」

「そんなことないよ。紬くんだって。」

そう言うと紬くんは表情を固くした。初めて見るその表情に何かまずいことを言ってしまっただろうかと不安になる。
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