嘘と愛
男達は逃げようとしたが、複数の警察官がやってきて取り押さえられた。
「どうやら、捕まったようですね」
男達が連れて行かれると、聖司はそっと零の体を離し、ニコッと笑った。
「ご協力有難うございます」
「いえ…」
ちょっと気のない返事をする零。
すると…
チュッと、聖司が零の頬にキスをした。
驚いて零は聖司から離れた。
「すみません、お礼のつもりです」
「お、お礼? 」
「ええ、そうですよ」
ちょっと呆れた零。
だが、聖司はニコニコしている。
「聞き込みの途中だったんですよね、すみません邪魔してしまって」
「いえ…」
「お詫びに、食事に誘ってもいいですか? 」
「いえ、結構です。そこまで気を使って頂かなくても」
「そんな事言わないで下さい。貴重な時間を、奪ってしまったのですから。食事くらい、ご馳走させて下さい」
「…あまり、外食は苦手なので…」
ふと、聖司は零の左手を見た。
「すみません、そうですよね。それでは、うちに招待しますので来て下さい」
「そんな…」
「僕の家なら、人目を気にすることはありませんから」
なんだかしつこい聖司に、零はちょっと引いていた。
「また、声を掛けますね。それじゃあ」
笑顔で去ってゆく聖司。
零は複雑そうな顔をしていた…。
夕方になり、零は署に戻ってきた。
聞き込みでちょっと疲れた顔をしている零に、同僚の男性刑事がやって来た。
「水原さん」
「はい」
「ディアナさんの目撃情報が、入っています」
男性刑事から資料を受け取り、零は目を通した。
ディアナが目撃されたのは、空港から随分と離れた港付近のラブホテルだった。
付近のラブホテルを、夜な夜な別の男と点々と泊まり渡っているようだ。
1つのホテルで2泊する時もあるが、1泊や12時間以内に出て行く姿もある。
変装してウィッグを着けていたり、つばの広い帽子で顔を隠している姿も防犯カメラに写っている。
そしてもう1枚の資料には。
ディアナの戸籍関係が添付されている。