嘘と愛
零は仕事の合間に、隆司のお墓にやって来た
ちょうど隆司が亡くなり1年経過しようとしている。
金奈市の南にある、小高い墓地に眠っている隆司のお墓に手を合わせる零。
お墓はいつも綺麗に手入れしてある。
今日もイキイキした菊の花が飾ってある。
「お父さん…犯人が自首してきました。…でも複雑です…これでいいのかと…」
お墓を見つめ、零はちょっと悔しそうな目をしている。
ピピッ…。
零の携帯が鳴った。
「はい、もしもし」
(…桜? 私よ)
電話は椿からだった。
「どうかしたの? 」
(うん…ねぇ、今日はお仕事遅いの? )
いつもより元気がない椿の声に、零は体調が思わしくないのを感じた。
「今日は定時で帰れそうだけど。どうかした? 」
(そうなんだ。…いつも大変そうだから、早く帰れるときはゆっくりして体大切にしてね)
「うん。大丈夫? 声が元気ないけど」
(そんなことないわ。…桜に会えて、私は幸せだから。…ねぇ、桜。そろそろ、名前を元に戻さない? 改名できるでしょう? )
「できるけど…。まだやる事があるから」
(そっか。…そう言えばね、この前お母さんが来てくれたわよ。お父さんと一緒に)
「お母さん? 」
(そうよ。私と桜を産んでくれた、本当のお母さん)
「本当のお母さん? そんな…だって、行くへ不明だって聞いているけど? 」
(お父さんが見つけてくれたようよ。とっても綺麗な人で、嬉しかった)
「お母さん、どこにいるか知っている? 」
(居場所までは聞いていないけど。お父さんなら、知っていると思うよ)
「そう…。でも、椿には会いに来てくれたのに。私には…」
ふと、零は聖司に迫られた時に助けてくれた楓の事を思いだした。
後から駆けつけてきた大雅は
「楓さん」
と、呼んでいた。