嘘と愛

「これで、姉さんはあの爆発で死んだことになるわ」
「どうゆう事? 」

「あのクルーザーには姉さんの保険証が残されているわ。あの爆発では、遺体も判らないほどに粉々になる。クルーザーは自動運転。もう、姉さんはこの世に存在しないの」

「あんた…そこまでやるの? 私の為に」

 驚いた顔のディアナに、楓はそっと微笑んだ。

「私、ここまでの人生が全く無駄じゃなかったって気づいたわ。犯罪者として、刑を受けた経験から被告人の気持ちが判るようになったから、国選弁護人を選んだの。でもそのおかげで、こうゆう時に役にたって力を貸してくれる人もいるわ」

「犯罪者逃亡に手を貸して、あんた平気なの? 」

「逃亡じゃないわ。…犯罪者はもう、死亡したの。ここからもし、行くへ不明として捜索されても見つからなかったら死亡扱いでしょう? 」
 
 驚いていたディアナが、ちょっと呆れたようにため息をついた。

「驚いたわね、虫も殺さないようなあんたが、そこまでやるなんて。あんた、私より悪党かもしれないわね」

「何を言われても、私は構わないわ。姉さんを逃がすことに、全く罪悪感なんて感じないから」

「ふーん…。そっか…」

 燃え盛るクルーザーを見ながら、ディアナは遠い目をしている。

「私も、今のあんたみたいに。全く罪悪感を感じなければ、全部。完全犯罪にできたかも知れないわね」
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