嘘と愛
楓はディアナをじっと見つめている…。
悪びれることがないディアナが、今は少し寂しげな目をしている。
なんとなく、つきものが落ちたような表情にも見えるディアナ。
「あんたが羨ましかったわ。…ねぇ、どうして私が男と、とっかえひっかえ遊んでいるのか分かる? 」
尋ねられ、楓は何となく判る気はしたが、あえて答えなかった。
「私ね。子宮がないの」
「え? 」
ディアナは少し寂しげな笑みを浮かべた。
「小学生の頃に、病気になってしまって。初潮が来て間もなかったけど。子宮をとらないと命に係わるって診断されて、やむを得ず子宮を摘出したの。子供ながら、私にはもう子供を産むことが出来ないんだって痛感させられたわ。…周りの子は生理が来ただの、毎月生理痛で休む人もいて。社会人になると、生理休暇なんてのもあるのよ。でも私には無縁で…毎月悩まされることも、気分が落ち込むこともなくて楽なんだって思う反面。なんだか私は、女じゃないって気にもなっていたわ。好きな人ができても、その人と結婚しても子供を産むことも出来ないし。世の中には、子供がいなくても良いって言っている人もいるだろうけど。やっぱり、家族がいるのっていいなぁって思っていた…。だからずっと、私は亡くなった母の事も父の事も、そして、あんたの母親の事も恨んでいたわ。勿論、あんたの事もずっと羨ましくて恨んでいたわ」
燃え盛るクルーザに、警察が駆けつけ騒ぎが大きくなってきたのを見て、ディアナはまたフッと笑った。
「あんたが好きになった人を奪い続けてきたのも、あんたが心から愛している人。…幸喜さんを奪ったのも、全部、私の嫉妬心からよ。…」
ディアナはゆっくりと、楓に視線を向けた。