嘘と愛
 タクシーで幸喜と一緒に宗田家にやって来た零。

 とても大きな家に、ちょっと圧倒された零は戸惑った顔をしていた。

 
 大きな門構えに玄関までの長い道のりを歩いてゆく間。
 特に会話は交わさないままだが、幸喜は零を気遣ってくれていた。
 
 石畳みのような道が玄関まで続いている。
 その間を広い庭が見え、丁寧に手入れされている花壇には奇麗なバラの花が植えてある。
 
 
 玄関に着くとハンドル式になっているドアノブに、零はちょっと驚いた。

 おしゃれなデザインで高級そうな、ちょっつ厚手の玄関のドア。
 玄関の脇にも植木鉢が置いてあり、可愛いお花が植えてある。


「どうぞ入って」

 玄関を開けてくれた幸喜が、先に零を中に招いた。


 玄関を入ると広い空間が広がる廊下に、奥には2階へ繋がる階段がある。
 オシャレなシャンデリアが天井から吊るしてあり、お金持ちの家の空間のように見えた。
 
 お客様用のスリッパが感と用意されていて、玄関マットもグリーン系で爽やか。

 
「あら、お帰り幸喜」

 奥から幸喜の母親の空(そら)が出てきた。
 明るいブルー系のブラウスに、紺色のスラックス姿の空。
 幸喜の母親にしては若々しく見え、目元が幸喜とそっくりでとても穏やかで優しそうな顔をしている。
 柔らかそうか茶色い髪が肩まで長く爽やかな感じである。

「ただいま。今日からちょっとお客さんがいるから」

 空は幸喜と一緒に入ってきた零を見ると、とても嬉しそうに微笑んだ

「いらっしゃい。どうぞ上がって」

 空に促され靴を脱いでスリッパをはいた零。 

「まぁ、とっても可愛いお客様ね。初めまして、幸喜の母の空です。今までアメリカにいたのだけど、幸喜がちょっとの間だけ帰ってきて欲しいって言ってきたから。主人と一緒に帰ってきたの。驚いたわ、こんなに可愛いお客様を連れてきてくれるんだもの」

「すみません、突然お邪魔して」

「いいのよ、気にしなくて。さっ、夕飯で来ているわ。って、その前にお部屋ね。ちゃんと掃除しておいたの、一緒に来て」

 突然来たのに部屋までよういされているの?
 零はちょっと驚いていたが、空に手を引かれ2階へと上がって行った。



 
 零が案内されたのは、2階の南向きの広々とした洋間。
 ベッドと机と椅子、化粧台とクローゼットがあり、カーテンは女の子向けの可愛い花柄のカーテンで、天井についている電機は丸型のシンプルな電気。

「ここの部屋を使ってね。誰も使っていないから、気兼ねしないで。自分の部屋だと思って使っていいのよ」

 誰も使っていない筈の部屋なのに、ちゃんと手入れがしてあり綺麗に整っている。
 ベッドカバーも新しくて、可愛いピンク系で揃えてある。

 この部屋はもしかしてここにいる椿の部屋なのではないか?
 そう思った零だが、誰かが使っているような部屋でもなく…。

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