エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
矢城はまったくの鈍感ではなく、詩織の変化に気づいてくれていた。
惚れられているとは思っていないようだが。

今夜は邪魔する者はなく、矢城の方から話してと言ってくれる今がまさに告白の好機。
詩織の胸の中は、一度引っ込めた勇気を奮い立たせようとする気持ちと、矢城の色気にどうにかなってしまいそうなので逃げたいという焦りが拮抗している。

「あの、自分の心の変化に自覚はあります。先生にご心配をおかけしてすみません。でも、今夜は――」
「駄目、逃がさないよ。白状しないなら……襲うぞ?」

色めいた声が耳元で聞こえ、詩織の肌が粟立った。
思わず矢城との情事を想像しかけたが、慌てふためく前に「というのは冗談だが」と矢城が離れてくれた。

(びっくりした……)

止めていた息を吐いて呼吸を整える詩織を、矢城がクスリと笑う。
それからリモコンでテレビを消した。
話を聞く準備、なのだろう。


「まぁ座って。詩織ちゃんも飲む?」
「いえ、私、お酒に弱いんです。ビールはコップ半分で立てなくなるので」

矢城は冷蔵庫から小瓶のヨーグルト飲料を出して、テーブルに置いてくれた。
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