エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「家裁の受付が十七時までなんですよ。ギリギリ間に合うかどうか……急いでみましょうか。こちらに来られますか?――ああ、そうなんですか。それは大変ですね。ではうちの職員を向かわせますので委任状にサインをお願いします。後はこちらでやりますので。――いえ、構いませんよ。有利な証拠となりそうなのでこちらとしても使いたい。それでは後ほど」

電話を切った矢城は真後ろの書類棚の複数ある引き出しから用紙を一枚取って、赤沼に渡す。

「疲れているだろうが、急ぎで出かけてほしい。これ委任状な」

今の電話は離婚訴訟中の高井という女性依頼人からであったそうだ。
第一回の裁判は数日後に予定されており、子供の養育状況や夫婦の不仲や別居の実態などを記した訴状は裁判所に提出済みであった。

そこに新たな情報を加えたいという。
夫の浮気の証拠を掴んだというのだ。

矢城は説明しながら、キーボード上に忙しなく指を動かしている。
大至急、訴状を作り直しているようだ。

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