エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
美緒にすれば、ここの先住者は自分なのにという気持ちなのだろう。
結婚することを報告したのは一週間ほど前のことで、反対はされなかったが、仕方ないというような顔をしていたように思う。

矢城にとって一番親しい女性が自分ではないということに、子供ながら傷ついているようだ。
悔しさをグッとこらえているような心境なのかもしれない。

かける言葉を見つけられずに眉尻を下げた詩織に代わり、矢城が「こらこら」と美緒を注意する。

「詩織ちゃんは優しくしているんだから、美緒ちゃんもそうしてくれよ。壁を設けるのにはわけがある。子供が生まれたら泣き声を事務所に響かせるわけにいかないだろ? こっち側にきていたずらされても困るしな」

目下の狙いは、詩織との甘い時間を心置きなく過ごしたいためなのだが、美緒にそれを説明できず、矢城はそのような言い方をしたようだ。

すると美緒が目を丸くした。

「赤ちゃん、できたの?」
「いや、まだだが、いつできてもおかしくない」

「な?」と目配せされて、詩織は頬を熱くした。
(先週、先生に避妊しない宣言されたのよね……)

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