エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
二回目のキスが与えられようとした時、インターホンが鳴った。
間髪入れずに玄関の引き戸がガラリと開けられた音がして、「おーい」と家人を呼ぶ男性の声もした。

玄関は廊下の角を曲がってすぐそこなので、さすがに矢城も離してくれた。

出てきた父が、「はいはい」と対応に向かう。
矢城は「お父さんが戻ったら、挨拶して出発しよう」と詩織に囁き、入れ替わりに座敷に戻る。

詩織は父の後を追って玄関へ。
今日の宴会に招待していた親戚がまだいたのなら、挨拶しなければと思ったのだ。

廊下の角から顔を覗かせると、玄関の上り口にひとりの中年男性が腰を下ろしていた。
近所に住む上島という人で、詩織も幼い頃から知っている。
町内行事では先頭に立って働き、世話焼きでもある。
皆に頼りにされる反面、若者には鬱陶しがられるところもあった。

帰省の挨拶をしようとしたが、上島が父に早口で話しかけているので割り込めない。

「三丁目に越してきた、あの若夫婦に困ってるんだ。浅木さん、町内会長としてビシッと言ってやって」

上島の横にあぐらをかいた父が、腕組みをして眉を寄せた。

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