エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
再び顔を赤らめた詩織が、視界に矢城を入れないように背を向けたのと、赤沼が「なっ!?」と驚きの声を上げたのが同時であった。

「僕に残業するなと言っておきながら、ご自分でやったんですか? 雑務は僕の仕事です。先生には他にやらねばならないことが山積しているでしょう。いったい何時まで仕事をしていたんですか!」

矢城がクリーニング屋のビニールを破ってワイシャツを着ようとしている音がする。
それを耳にしつつ、詩織は昨夜を思い出していた。

(そういえば、事務所の明かりが遅くまでついていた。私がベッドに入った時はまだ先生は仕事中で、夜中にふと目が覚めた時も、ドアの隙間に明かりが漏れていたっけ……)

おそらく矢城は三時頃まで仕事をしていたのではあるまいか。
今朝はいつもと変わらぬ顔で、詩織の心のケアまでしようとしていたから、寝不足に気づけなかった。

怒りながら心配する赤沼を、矢城が面倒くさそうにいなす。

「はいはい。夜更かしはお肌に悪いから今後気をつけますよ。まったく赤沼は真面目だな。若者らしくふざけていいんだぞ」
「矢城先生、僕はなんでも引き受けてしまう先生の体調を心配して――」
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