エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「あー、わかったわかった。それじゃ、今日の俺は楽をして、代わりに赤沼に目一杯、働いてもらおうか」

どうやら着替えが終わったようなので、詩織は矢城の方に向き直る。
洗いざらした髪に無精ひげ。
ネクタイは今日も締める気がないようだ。
使ったバスタオルを丸めて床に投げ置いた矢城が、食卓の椅子に座る。

五社分もの朝刊が、テーブル上に置かれている。
全紙を読む時間はなく、ヤクルトンと同じように、販売員のためにと過剰に契約したのだろう。

赤沼は腕組みをしてムスッとしている。
朝刊を広げて読み始めた矢城が、淡白な口調で指示をした。

「町田の隣地との境界争いの件、引き受けることにしたんだ。赤沼が言うところの、骨折り損の仕事な。あれ、任せるわ。隣人が話の聞かない頑固オヤジらしいぞ。何十回と足を運ぶ羽目になるだろうな。まぁ頑張れ。それと、森山さんの遺産分割調停な。クライアントが夕方やってくる。それまでに相続人全員の戸籍謄本取っといて。後は法務局と家裁に行って手続き関係終わらせてきてくれるか?」

「先生……意地悪のつもりですか? 僕がふたりいないと時間的に間に合いません」
< 41 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop