エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「浅木さんは小関さんを独身だと思い込んでいました。小関さんはそれに気づいていたのに、既婚者だと教えず、言葉巧みに交際関係に持ち込みました。浅木さんは騙されていたと言っていいでしょう。それなのに浅木さんひとりが悪者にされ、幕を下ろされました。浅木さんは今も外出がままならず苦しんでいます」

それまで事務的であった矢城の口調に、腹立たしさが滲んでいた。
詩織の事情を知ってからの彼は、共にやりきれない悔しさや悲しみと葛藤してくれていたのだろう。

これまで詩織の前では、のんきに構えていることが多かった矢城なので、詩織は驚いていた。

(私、自分の苦しさを、矢城先生に押しつけてしまったのかな……)

逃げてばかりで矢城の提案を断り続け、やきもきさせてしまったことを反省した。
騙し打ちのようにここに連れてこられて非難の感情も沸いたが、今は感謝の方が勝っている。

(葉山さんに、事実を知ってもらえて、ホッとしてる……)

うつむけていた顔を上げ、潤む瞳に矢城を映すと、勇気づけるような力強い眼差しを返された。
詩織は顔をまっすぐ前に向ける。

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