エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
その直後から世間の視線は詩織に同情的に変わり、道行く人に『頑張って』『応援してます』と温かい声をかけられるようになった。

雑誌記者風の男たちに声をかけられると恐怖の日々を思い出してしまうが、震えるほどではなく、平静を装ってインタビューを断ることができている。

今では変装用の伊達眼鏡やマスクなしに外出できるようになり、詩織はやっと穏やかな日常を取り戻すことができた。
矢城と葉山には心の底から感謝している。

「矢城先生のおかげです。私の問題を無償で解決してくださって、本当にありがとうございました」
「それは気にしなくていいんだよ。依頼を受けての仕事じゃない。俺が勝手にやったことだから」
「せめて、なにかお礼をさせてください。欲しいものはありませんか? 私にやってもらいたいことでもいいので、なにか言ってください」

少しでも恩返しをしたいという気持ちは、詩織の表情に表れていたのだろう。
矢城は、いらないとは言わず、牛肉を咀嚼しながらしばし考える。

「そうだな……。冷蔵庫にヤクルトンがまた溜まってきたんだよな。賞味期限前に飲んでくれたら助かる」
「それは前からやってます」
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