本能で恋をする~after story~
そして今、私はクラブ・ジュリエットにいる。

「じゃあ、凛音ちゃん。源氏名どうしようかしら。
何かある?」
「“葵”は?」
一平さんがすかさず言う。
「海斗の“海”は青いだろ?どうせ一週間のことだし、単純でいいんだよ!」
「あ、はい。じゃあそれで…」
「わかった、葵ちゃんね。よろしく。大丈夫よ。基本的にはヘルプに付くだけだから」
「はい。わかりました。ご迷惑だけはおかけしないようにしますから」

心なしか手が震えていた。
どうしよう?既に海斗に会いたい……

「凛音ちゃん?大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です。ちょっと緊張しちゃって!」

「凛音ちゃん、ちょっとごめんね……」
そう言って、一平さんがフワッと抱き締めてくれた。

「海斗じゃなくて、悪いけど……。大丈夫…この一週間は俺が守るから。送り迎えは毎日するし、店にもずっといる。凛音ちゃんは客と楽しく話をすればいいんだよ」
いつもは海斗以外の男の人は嫌なのに、なぜかとても安心して、ホッとできたんだ。

「はい。私もきみちゃんの力になりたいのは、本当ですから」

よし、頑張るぞ!
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