本能で恋をする~after story~
ある廃工場にいる、俺と小野。

コイツは“俺とタイマンはりたい”その理由だけで、全て調べてここにいるのだろう。
どうすれば、俺がゆうこと聞くか全て調べて。

「なぁ、なんで俺なんだ?」
「勝良だけなんだよ!俺がタイマンはって勝てなかった奴。それがずっと心残りでさ」

「へぇー。じゃあ本気で行くわ!
多少なりとも、お前にムカついてるし!」
「当たり前だろ?
あとさ、なんか賭けない?」
「あ?なんだよ、それ!」


「俺が勝ったら、凛音ちゃんちょうだい!」


「お前、冗談やめろ!凛音には関係ない!」
「だって、その方が燃えない?まぁ、お前に選択肢はないけど!」

「ふざけるな……!」

「ふざけてねぇーよ!」
バコッ――――
「……っつ」
バコッ――
ボコッ――――ドンッ……


たくさんの殴る鈍い音が、響く。



「お前のせいで、いつも俺は影なんだよ……」
バコッ―――
「う……」
ちょうど小野の腹への蹴りが当たりどころが悪く、怯む。そのまま倒れてしまった。

「勝良……?おっ、俺やった!?スゲー!
じゃあ約束通り、凛音ちゃんちょうだ――――――。
か、つ…ら…?」


言葉にならない怒りが俺を包む。

コイツが――。凛音を――――さらおうと――している?
小野に蹴られ動けなかったはずなのに、凛音をさらおうする“コレ”の言葉に感情が冷める。

バコッ――ボコッ――――
ベキッ―――
「うわぁぁぁぁー!!
痛ぇぇ、骨がぁぁぁ!!!!」
小野がぼろぼろになっている。
でも止められない。止まらない。

完全に目が据わり、ただ目の前の“ゴミ”を排除していた。
トドメを刺そうと手を振り上げた時――――

ピロピロピロ――――

この着信音は、
「凛音……?」
振り上げていた手を下ろし、スマホを操作する。

「もしもし!凛音?」
『海斗?よかったぁー。美久に海斗が社長室出たっきり帰ってこないって連絡くれたの。
どこいるの?』
「うん、今から帰るよ!心配かけてごめんな…」
『本当?じゃあ美久に伝えとくね!あと、早く帰ってきてね!ギュッてしてほしいの!』
「うん!一度会社戻ったら、すぐ帰るよ!いっぱいギュッてしてあげる!」


「おい!小野…?」
「え…?」
「お前命拾いしたな!凛音に感謝しろよ!あと、もう二度と俺や凛音の前に現れるな!
次はない!!」


そう言って、救急車を呼びその場を後にした。

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