都合のいい女になるはずが溺愛されてます
その夜、佐久間の家に行った私は案の定泣かされた。


「嫌いです、佐久間さん」

「ごめんって、マジで反省してるから許して」


向かいあわせで湯船に浸かって睨んだ。
私がいじけている理由は佐久間が情事の際、無茶をしてきたから。
バックで攻めてきた時に奥をガンガン突いてきて、うまく息ができず苦しくて泣いてしまった。


「しかも私が泣いてるのに続けるなんて信じられない」

「仁奈が泣いたの見たら興奮してやめられなかった」


私の身体のことを考えずに好き勝手するなんて、嫌いになる要素としては十分なのに嫌いになれない。
ほんと、一方的な恋って矛盾してる。

こうやって都合のいい女が出来上がるんだろう。


「泣かれると普通は萎えるはずなんだけど」

「大っ嫌いです」

「あーあ、仁奈に嫌われた。俺もう生きていけねー」

「私なしでも生きてください」

「そんなつれないこと言わないでください」


わざと敬語でからかう佐久間から顔を背ける。
するとにやにやしながら頬をつついてきたから、プクッと思いっきりふくらませた。


「あは、なんでそんなかわいいの?」


よくする意地悪な笑い方をして頭を撫でてくる。
ひどいことされたのに文句が出てこない。

私もずいぶん飼い慣らされたな。
そう分かってはいても佐久間との時間は心地よかった。
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