都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「お腹痛い?」


ずっとふくれっ面をしていたら佐久間が首をかしげる。


「別に大丈夫です」

「いやダメ。仁奈が『別に』って言う時は大丈夫じゃないから」


なんだかんだ付き合いが長いから私の口癖もお見通しだ。


「……そういうところがずるいです」

「なんで?心配してるだけじゃん」


心配されると期待するからやめてほしい。
いつか見放されると分かって甘えてしまうから。


「そろそろ上がって横になっとく?」

「そうですね」

「身体拭いてあげるからおいで」

「い、嫌です!」

「……は?」

「自分で拭きます。あの、恥ずかしいので先に部屋に行ってください」


やんわり腕を掴まれて振りほどいた。
佐久間は意味不明だと言わんばかりに眉を曇らせる。


「なんで女ってセックスは恥ずかしくないのに風呂は恥ずかしがるわけ?」

「それが分からないなら佐久間さんは一生女心分からないままですよ」

「今は仁奈の思ってることだけ分かればいい」


だから、そういう発言がずるいんだって。


「やっぱり私が先に出ます」

「はいはい、どーぞお先に」


けど言い合ってたらいつまで経っても浴槽から出られない。
サッと立ち上がり佐久間を置いて先に風呂場から出た。
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