都合のいい女になるはずが溺愛されてます
たらふく飲んで食べて、そんな楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
やっぱり佐久間といるのは楽しい。
まったく私はチープな女だ。ただ話してるだけで幸せになれるなんて。

でも欲深くなっていざ何かあった時に失望するのはごめんだ。
佐久間に多くは望まない、この形がベストだと思う。



「あれ、私じゃない」


寝る前にもう一度入った温泉から出てきたらスマホが鳴った。
私のスマホかと思ったら佐久間だった。


「佐久間さん、電話きてます」

「なに、見せて」


スマホを渡して佐久間はあくび混じりに画面を見る。
と、その瞬間険しい顔をした。
女絡みかな、私の女の勘が言っている。


「私、部屋の外に出ましょうか」

「いや、そこにいて」


気を利かせたのにそこにいろと言われたら動けない。
佐久間は画面を操作して通話に応じた。


「この番号誰に聞いた?」


第一声は冷たい声。私に向けられたことのない抑揚のない声だった。
< 115 / 263 >

この作品をシェア

pagetop