都合のいい女になるはずが溺愛されてます
夕食の時間に合わせて旅館に帰った。
テーブルの上に並ぶ懐石料理に舌鼓を打つ。
食べ切れるか心配だったけどちょうど生理前の暴食期で助かった。


「カニなくてごめんね?」


勢いよく食べていたら佐久間が首を傾けながら謝ってきた。
美味しいもの食べさせてもらってることに変わりないから謝らなくていいのに。


「あれは冗談だからいいですよ」

「カニはシーズン来てから一緒に行こう」

「カニのシーズンっていつですっけ?」

「冬じゃねーの?」


だけど少し未来の話をするから面食らって箸が止まる。

少なくとも佐久間はこの関係を冬まで続けるつもりなんだ。
……続けばいいけど。
さすがにその頃にはほかの女の子に目移りしてる気がする。


「仁奈、箸止まってるけどお腹いっぱい?」

「いえ、めちゃくちゃお腹空いてたんで余裕です」

「だよねー、あんだけ運動したら腹減るわ」

「私は生理前の暴食期なだけです」

「食っても食っても腹減るやつ?じゃあ後で売店に酒とつまみ買いに行こ」

「いいですね」


余計なことを考えるのをやめて佐久間の案に乗る。
こんな悩んでも解決しないなら仕方ない。
今が楽しければそれでいい、そのくらい割り切っていかないとやっていけないから。
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