都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「やめて、自分で行くから離して」

「暴れたら危ないって」


暴れるに決まってる、この歳でお姫様抱っこは恥ずかしい。
羞恥心で爆発しそうになっていたら「はい到着」と降ろされた。

よかった、本当に温泉にぶち込まれなくて。
安心していたら「朝風呂っていいよね〜」と言いながら佐久間が浴衣を脱ぎ出した。

男の人ってなんでそんな簡単に裸を晒せるの?
ほんと、油断も隙もない。


「仁奈も早くこっちおいで」

「……あっち向いててください」

「はいはい」


素っ裸になった佐久間は一足先に温泉に浸かって私を呼ぶ。
でも、温泉に入るならシャワー浴びなきゃ。
昨日えっちが終わった後そのまま寝ちゃったから。


「佐久間さんシャワー浴びたんですか?」

「仁奈が起きる前にひとっ風呂浴びようと思って一通り洗った。
けど、いざひとりで浸かったらなんか物足りなくて仁奈起こした」


ボディーソープの泡で身体を洗っていると佐久間が振り返る。
もう、こっち見ないでって言ったのに。


「仁奈がいないと何もできなくなりそうで怖い」


だけど大真面目な顔をしてそう言うから面食らった。
それはこっちのセリフなのに。


「佐久間さん切り替え早いから大丈夫ですよ」

「出た、かわいくねー」


またお得意の冗談だろうと冷静に一言。
すると佐久間はいじけたように口をへの字にして前を向いた。
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