都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「仁奈起きて、朝風呂しよう」


揺さぶられて目が覚めた。ぼんやりと佐久間の顔が見えて、辺りが明るくなっているのが分かる。
だけどまだ眠たくて目が勝手に閉じてしまう。


「起きないと今日撮った寝顔ホーム画面に設定するから」

「それは絶対やめてください」


けど佐久間の脅しにビックリして起き上がった。
寝顔を見るに飽き足らず撮ったの?信じられない。
頑張って回らない口で強く言ったつもりなのに、ニヤニヤしながらスマホの画面を見せつけてくる。

そこに映る間抜け面の私の寝顔。
本当に白目を剥いてだらしない顔だった。


「消してください。すごい、ぶさいく……」

「なんでかわいいじゃん。消すわけねーし」


いや消してよ。誰がどう見てもその写真はかわいくない。
それより、こんなの見たら普通男の人って萎えるんじゃないの?


「そんなブサイクな撮り方しないでください」

「ごめん、次から盛れるフィルターで寝顔撮る」

「だからなんで寝顔限定なんですか」


佐久間はその問いには答えず、悪い顔をしながら頭を撫でてきた。
おかしい、昨日はあんなに鬱々とした気持ちだったのにすっきり晴れている。
生理前で情緒不安定だったという理由もあるかもしれないけど。


「で、目覚めた?」

「……目覚め悪いので二度寝します」

「はいダメでーす。朝風呂にぶち込みまーす」


佐久間の顔が腹立つので、布団を被って寝たフリをした。
が、すぐに剥ぎ取られ身体を軽々と持ち上げられて本当に目が覚めた。
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