都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「ただいま〜」
仕事を終えて寄り道せずに早めに帰宅。
なぜって仁奈が家で待ってるから。
仁奈の弟たちに宣言した通り、最近引っ越してきた新居にふたり暮らししている。
「どうしたんですか、やけにご機嫌で」
「なんでもない」
「え、ニヤニヤして不気味なんだけど……」
にしても仁奈はやっぱりかわいいよな。
岡田の件で再確認した。
最近は会話の中でちょっと敬語が外れるのがまたかわいい。
「早く結婚したい」
そんな仁奈のいろんな表情がみたくて突拍子のないことを言ってみる。
キッチンで夕飯を作っていた仁奈は手を止めてこっちを見る。
「……まず麗に認められてからですね」
「そこはお父さんじゃなくて弟なの?」
「お父さんは早く孫の顔が見たいって言うくらいなんでよほど変な人じゃなければ大丈夫と思います」
「わかんねーよ。そういう人に限って『娘はやらん!』って言い出すかも」
「うーん、お父さんより先に弟たちが言いそう」
「ははっ、そっちの方が想像できる」
結婚したいとか、今まで散々遊んでた野郎のどの口が言ってんだって自分でも思う。
けど、いつまで続くか分からない生ぬるい幸福も悪くねえわ。