都合のいい女になるはずが溺愛されてます
翌日、オフィスの廊下で仁奈を発見した。
おっ、今日はツイてる。仁奈にお願いする仕事はないけど話しかけよう。


「佐久間さん!」


と思ったら俺の後ろから、昨日の新卒が小走りでこっちに向かってきていた。
あー、もう名前も思い出せねえのになんの用?

仁奈は俺を見て少し表情を明るくしたけど、そのとたんUターンしてしまった。
おいおい、お前のせいで仁奈が逃げたんだけど。


「あの、広報部の先輩方に言われて少し外見に気を使ってみたんです。……どうでしょうか」


てっきり仕事の用事かと思ったら、その女は頬を赤らめながらアピールしてきた。
いや、マジで何?意味がわからん。


「……いいんじゃない?」

「あ、ありがとうございます」


真顔で適当な反応をしたのに嬉しそうに笑う。
眼中にねえのにここまで鈍感だと腹立つわ。
てか、なんでわざわざ俺に?なーんか、嫌な予感する。

とっさに「俺もう行かなきゃいけないから」とその場後にした。
背後から視線を感じたけど振り返ったら負けだ。
あー、やばいな。変な女に興味持たれたかも。
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