都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「……あーあ」


呟いた独り言が虚しく空中を漂う。

なんで自分は特別になれると思ったんだろう。
佐久間と一緒に観た映画がラブストーリーだったから?
無意識のうちにヒロインを自分に当てはめてしまったのかな。

あれは、あくまでフィクションに過ぎないのに。


佐久間と一緒にいて楽しかったのが嘘みたい。

明日から私、佐久間の前で普通でいられるかな。
この関係を終わらせるにしても明日は我慢しなきゃ。
付き合ってもない佐久間に八つ当たりしてそのままお別れ、という最悪の展開は避けたい。

だから職場の人間と関係を持ちたくなかったのに。

その夜はいろいろ耐えられなくてひとりでソファで寝た。










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