都合のいい女になるはずが溺愛されてます
翌日はなんとかやり過ごして昼過ぎには帰ってもらった。
その次の週末も佐久間は泊まりに来る気だったみたいだけど、友達の家で飲むと言って断った。

仕事でも話すことはあまりなくなった。
幸い、佐久間は営業の仕事が忙しくて私に構っているヒマはないみたい。


そうしてやがて、この春大学を卒業した新入社員が入社してくる時期になった。
総務部は私以外子育て中のママさんなので飲み会に参加できない。だから歓迎会は私が参加した。


「あ、遠藤さん。よかったらこっちにおいでよ」


1人だからどこに座ろうかウロウロしていたら、笑顔で手招きしてくれたのは営業部の部長。
困ってるの見かねて声かけてくれたんだ。なんて優しいんだろう。


「ありがとうございます、お邪魔しますね」

「どうぞ。いやー、遠藤さんがいてくれてよかった。
孫の話をいくらしても嫌な顔しないのは君くらいだからね」

「お?ということはまた新しいエピソードが聞けるんです、か……」


笑顔で部長の隣に座ったら目の前に佐久間がいた。
最悪……居酒屋の間仕切りが死角になって見えなかった。

佐久間は私と目が合っても、なんのリアクションもなく飲み放題のメニュー表に視線をうつした。
え、ちょっと。思いのほかギクシャクしてない?
それとも私が変に意識してるだけ?

今日来たの失敗したかもなぁ、と思いながら上着を脱いで座り直した。
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