都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「いつ調べたんですか?」

「仁奈が寝落ちしてから。おかげで検索履歴がタカアシガニでいっぱい」


話しながら駐車場を出て、入口の近くチケット売り場に来た。
並ぼうとしたらぐいっと腰を引き寄せられた。


「何してんの?」

「はい?」

「前売り券、仁奈の分も買ってるからこっちおいで」

「え、いつの間に?」

「実は1週間前から買ってた。だから断られたらどうしようかと思ってたけどカニに助けられたわ」


私の腰に手を当てたまま入口に進む佐久間がカッコよく見えて仕方ない。
至近距離だとなおキラキラして見える。


「あの、チケット代払います」

「いらないから楽しんで」

「じゃあガソリン代は出します」

「いいよ、そういうのめんどくさい」


腐ってもイケメンに全額出させるのは申し訳ない気がしてきた。
でも気を使ったつもりがめんどくさいと言われてちょっとショック。

しゅんとなって下を向いたら佐久間は腰に回した手を離して右手を包んできた。
そして優しくにぎにぎしながら笑いかけてくる。


「女の子は美容にお金かかるからお金は出さなくていいよ」

「どこぞのチャラ男ですか」

「はあ?やっぱ今夜泣かす」

「すみません、今のは私が悪かったです」

「あは、大慌てでウケる」


一瞬冷たい目線を向けてきた佐久間が怖くて謝罪した。
ウケると言った佐久間は呆れ気味だったけど、その手を離そうとはしなかった。
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