都合のいい女になるはずが溺愛されてます
その頃になってやっと緊張が解けてきた。
口が達者な佐久間とのドライブは退屈しなくて楽しい。
おかげで1時間かけて水族館に着いたのに、あっという間に感じた。


「ちゃんとタカアシガニいるかどうか調べた俺を褒めて」


車から出て鍵を閉めた佐久間がじっと見つめてきた。


「え、わざわざ……調べたんですか?」

「何笑ってんの?仁奈がカニ見たいって言ったんだろ」

「ありがとうございます」


一生懸命調べてくれたんだと思うとおかしくて笑ってしまった。
お礼は言ったけど、佐久間はニヤニヤしている私が気に食わなかったようで。


「今夜泣かすわ」

「ごめんなさい、照れ隠しだから許してください。
佐久間さんがそこまで調べてくれたの嬉しくて」


恐ろしいことを宣言した佐久間に走りよって弁解した。
今夜無理したら明日仕事だからキツい。


「ならいーけど」


すぐ謝ったら佐久間は許してくれたので、ほっと胸を撫で下ろした。
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