惡ガキノ蕾
   ~H.31.2.8金曜日 凜と~
 魘《うな》された処為《せい》か寝不足気味の次の日の午後。ぽかゝ陽気とは行かない迄も、耳を澄ませて呼吸も止めれば、春の足音位聞こえて来そうな青空の下、二階に上がる外階段の途中で、スマホが奏でる着信音。液晶には剣道着姿のトプ画──凜からだった。
「もし―」
「もし。メ―ル見たけど、だんごって小学校の時の?」
「そう。昨日店に来てて、凜の連絡先教えてくれって言うから、教えてもいいのか一応聞いてからの方がいいと思ってメ―ルしたんだけど」
「へ―懐かしいね。戻って来たの?」
「うん。なんか今は太一のとこで働いてるんだってさ」
「あ―そうなんだ。分かった、教えて貰って全然大丈夫。わざわざありがと」
「ううん。じゃあ教えとくね。そんだけ―」
「どんだけ―。じゃあね―」
 細かい話はしない内に、早目に切り上げる事にした。告白なんて誰かを通すより、本人から直接聴いた方が絶対いいもんね。あたしは出来る女、はなみ十六歳。早速だんごにメ―ルを送って、洗濯物を取り込むと店の掃除に取り掛かるのであった。
 おんぼろ時計が一度鐘を鳴らした五時と六時の真ん中、凜からのメ―ルでスマホがブルッた。
(今、大丈夫?🖤)
 なんでハ―ト?(笑)人差し指で"通話ボタン"をタップ。
「もし」
「ごめんねはなみ。忙しかった?」
「バリバリ。冗談、も―そろ支度も終わるとこだったから全然大丈夫。どうかした?」
「今だんごから電話があったんだけどね…」
 …あいつ…、仕事終わって速攻って感じですか。
「うん、そんで?」
「話したのも久し振りなのに、『お食事でもいかがですか』だって」
 は?あいつ告んなかったんだ。直接会ってから言う積もりなのか?それにしてもお食事って…。
「で、なんて返事したの?」
「十一日の建国記念日にって誘われたんだけどね、その日は剣道の大会があるからって断ったら、じゃあ次の日曜日にって言われて…」
「うん。そんで?」
「練習の後でもいいならって約束したんだけど…」
 阿呆みたいに喜んでるだんごの姿が目に浮かぶ。ま、お食事の後どうなるかは、分かんないけどね。
「へ―、いいんじゃない」
「あ、それとはなみには、その大会のある日にね、うちのお母さんが久し振りに一緒に食事でもどうって言ってるから、予定が空いてるのか聞こうと思って」
「あ―…」
 祝日の営業どうすんのかは、その時ゝで決めりゃあいいじゃねえかってきむ爺言ってたけど、確か建国記念日は随分前から休みにするって言ってた気がする。これと言った用事も無いし、久し振りに凜の応援しに行くのも…うん、悪くない。
「何かね、試合会場の近くにバイキング形式で食事出来るホテルがあって、お母さんが若先生からそのホテルのお食事券を貰ったんだって」
「分かった。どうせだったら試合も見たいから、場所と時間送っといて」
「OK。お母さんにも伝えとくね。二人で行ってもねって昨日の晩も話してたから、喜ぶと思う。ありがと、じゃね―」
「こっちこそありがと。じゃね―」
 電話を切った後直ぐに届いたメ―ルには、"お母さんが貰って来た食事券は五名様まで大丈夫だから、もし良かったら双葉先輩も"と書いてあった。あ、メ―ルの通り書くなら(双葉先輩も🖤🖤🖤)……はいはいはい。
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