惡ガキノ蕾
   ~H.31 3月 だんごと凜~
 朝の冷え込みを忘れる位に、お昼ご飯を済ませた後は眠気を誘う陽気となった、そんな夢見月のとある一日。
 バイキングのち征十郎、晴れのち嵐。胃にはかなり負担を掛けたあの建国記念日からカレンダ―をもう一枚捲《めく》った昨日まで、みゆは二回程双葉に背中の傷を増やして貰いに来たけど、"痛い"という声も、塚本達の話も、その口から洩《も》れ出る事は無かった。塚本達を前にしない事には、話を前に進めようも無いので、四人で話し合ったあの日から、あたし達の計画は動きを止めたままだった。
 あ、…忘れてた。だんごと凜の話。日曜日"お食事"に行った後の展開だけどね。あたしの方から聞くのもなんか違うかなと思って悶々としていたら、凜の方から連絡があったんだ。
「ラ―メン屋さんから出たら、いきなり告られてびっくりしちゃった」
 ラ―メン屋…。人生で一度しか告られた事が無いあたしが言うのもなんだけど、ラ―メン屋って…。う―ん、どうなんでしょうか?"お食事"、う―ん。
「へぇ―。…で、なんて返事したの?」
「今んとこ剣道に集中したいから、そういうお付き合いとかしてる時間は無いって断った」
 可哀想に。相手が剣道じゃ、張り合い様も無いしねぇ。まあ、しょうが無いか。
「そうか―。んで、だんごはそのまま帰ったの?」
「それがね、『じゃあ友達から始めてくれ』って言われて…」
「うん。そんで?」
「勿論、いいよって。だって、あたし達小学校の時は四年間同じクラスだったんだよ。とっくに友達じゃない?」
「あ―」
 ──そうでした。あたしと凜とだんごは、確かに小学校の一年生から四年生まで同じクラス。…と言う事は、あいつは小学校の四年間と、引っ越してからの五年間、九年掛けて"お・と・も・だ・ち"の再確認をしたって訳だ。なんだか泣けてくる、男って…。
 でもその夜、だんごからあたしに届いたメ―ルは、予想に反して正月がもう一遍来たみたいなめでたさで溢《あふ》れていた。
(ありがとう。はなみのおかげで俺と凜の関係もやつといつぽ文出す事ができた🖤)
 ──どうよこれ。下手すりゃ"やっと""一歩""踏み"出した場所で、永遠に足踏みする事になるとも知らず。
 ──以上、今年一番の寒暖差に震えた話。
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