身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「なぜこの知らせを、あなたが私に?」

イアンやダーラが知らせてくるのならともかく、ほとんど関わりのないバーンハルドから知らされるのは、なんだか違和感がある。


「一つには……この知らせは、まだ一部の人間しか知りません。居合わせた騎士達と、陛下のみです。それから、ソフィア様にお知らせしたのは、あなたが団長の、唯一の存在だからです」

「私が、唯一?」

「ええ。どうか、団長の無事な帰還を信じてお待ちください」

「もし……もしなにかわかったら、また知らせてくれますか?」

「もちろんです」



バーンハルドが去った後、いても立ってもいられず、部屋を飛び出そうとした。けれど、飛び出したところでどうするのかと考えれば、答えは見つからず、なんとか思いとどまった。私にできることなんて、なにもない。


この部屋はエディの香りで満ちている。なにか、陽だまりや森、自然を感じさせる心地良い香。

彼に抱きしめられて眠るようになって以来、この香りにいつも癒されていた。

椅子にかけられた彼の上着を手に取って顔を埋めれば、その香りを一層強く感じる。こうしているだけで、少しずつ落ち着いていく。

彼の上着を抱きしめたまま、寝室のベッドに入った。



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