身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
それにしても、この狼は随分感情が豊かなようだ。ペシッと叩きながら、〝フン〟って鼻を鳴らす様子は、まるで不満を表しているよう。

この様子なら、怪我の方も大丈夫なのだろう。
そう思いながらも、念のため、怪我をしていた肩の付近を、そっと覗き込んだ。


「怪我は、もう大丈夫?」

返事なんて期待してたわけじゃないけれど、言葉にしていた。狼は、まるでそれに答えるように、しっぽを振っている。

「お水でも、いる?」

立ち上がろうとすると、大きな頭にグイッと押されて、ベッドにもどされてしまう。水は必要ないってことなのだろう。

チラッと窓に目を向ければ、もうすっかり暗くなっている。


それにしても……
この狼は、一体どうやってここへ入ってきたのだろう?

まさか、城の中を歩いてきたとは思えないんだけど……それなら窓から?といっても、ここはかなり高い場所に位置している。壁をよじ登るだなんて、狼の手では無理だ。おまけに怪我をしてたはずだし。




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