身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「さっき見た通り、俺は狼の姿になることがある」


私は今、確かにすごく驚いている……はず。けれど、実際に姿を変える彼を目の当たりにしたこともあってか、妙に落ち着いている。


「俺の母親は、ここからずいぶん離れた、フォンダールという国の出身だ」

「フォンダール……?」


また厄介な、カタカナの名前が加わった……


「フォンダールの王族の起源は、狼だと言われている」

「狼……」


エディの言葉を繰り返すだけの状態になっている私を、〝大丈夫か?〟と覗き込んでくる。けれど、パチパチっと瞬きぐらいしか返せない。


「まあ、いいか。フォンダールの王族の血を引く男児は、かなり高い確率で、狼に姿を変えることができる。不思議なことに、この性質は女児で受け継がれたことは、今のところ一度も確認されていない」


もはや〝ふうん〟とぐらいしか、返す言葉が見つからない。


「この特殊な血は、〝らしい〟ぐらいの話として、近隣諸国にも知られている。まあ、ほぼ確信している国もあるがな。
それを恐れるあまり、フォンダールに攻め入るだとか、フォンダールの王女を嫁がせるなんてする国は皆無。フォンダールは、その辺りで最も恐れられた強力な国なんだ」


だめだ。現実味がわかない。



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