身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「俺の名誉のために言っておくが、誰かれかまわず試したわけじゃないぞ。一目会っただけでわかるんだ。コイツじゃないと。相手の匂いで感じるんだ。
俺の狼の性質は、そこまで失われてないようだ。このことは、もう崩御されているが前国王も母も、エリオットだって知っている」


〝試したわけじゃない〟と言うエディに、ホッとしてしまった。つい、他の女性に目を向けないで欲しいなんて、思ってはいけないことを考えてしまう。


「そもそもこうして狼に姿を変えるんだ、血が薄まったことの影響は小さいんだろうな」


「じゃ、じゃあ、あなたが女嫌いっていうのは……」

ジロリと見てくるエディに、思わず小声になってしまう。

「もちろん、男色の気はないぞ」

「そ、それはもう……ごめんなさい」

彼は、初対面でのやりとりを、少なからず根に持っているようだ。


「つまり、体が反応する、心から欲しいと思う女に出会ってなかったってだけだ」


その言葉が、ぐさりと胸に刺さる。
つまり、いくら私がエディに想いを寄せても、受け入れてくれることはないってことだ。

冗談で〝襲う〟って言われたこともあった。それに、毎晩のように、寝る時は抱きしめられていた。
けれど、エディは一度だってそういう気になる素振りは見せてこなかった。


要するに、そういうことなんだろう。


彼の相手は、私じゃない。





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