身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
もういいわ。なにもかもあげる。
元々、私のものなんて一つだってないんだもの。

この豪華な部屋も、たくさんのドレスも、触るのですら怖くなるような高価なアクセサリーも、王女という立場も。

エドワードという婚約者も……



「そうと決まれば、さや香様。早速引き継ぎをはじめましょう」


無邪気に言うダーラが、疎ましく思えてくる。ここへ来た時は、彼女がいてくれれば安心だとすら思っていたのに。

「わかりました」


イアンとクラリッサは、〝打ち合わせを〟なんて言いながら、挨拶もそこそこに部屋を出ていった。きっとその打ち合わせだって、入れ替わりの詳細を話し合うのであって、私の今後のことなんて、少しもないのだろう。


「ランチの時は、どんな話をされましたか?夜はどう過ごすのですか?エドワード様の癖や好きなことは?」

少しでも詳しく聞いて、一秒でも早く王女の元へ駆け付けたいっていう思いが、嫌というほど伝わってくる。

そんなに知りたいというのなら……


「それじゃあ、今日のランチに侍女として同席したらどう?実際に見た方が早いわ。さすがに寝室に招くのは無理だけど、ランチなら不自然でもないわ」

「そうですね!!それならより正確に掴めます。じゃあ、夜はどう過ごしているのかは、今のうちに聞いておきましょう」



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