身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
〝さあ〟なんて促してくるダーラ。遠慮も配慮も微塵もない様子に、もはや悲しさを通り越して呆れてしまう。


なんだったんだろう……
声楽家になって、世界中を飛び回りたいって、ひたむきに取り組んできた日々は。

どうして今、こんな目に遭わないといかないの?その存在すら認めてもらえないのなら、いっそのこと、私なんていなくなればいい。


後ろ向きな感情に支配されていくのがわかる。心の奥底がすっと冷えていく。悲しみも苦しみも、悔しさも全て消えて、私の顔には取ってつけたような作り物の笑みが浮かんだ。


「夜……もちろん、夫婦としての関係はないわ。タイミングが合わなければ、エディから言われている通り、先に寝てしまうし。起きていれば、その日にあったことをお互いに話して寝るぐらいかな。
エディはいつも、背後から抱きしめて寝るの」


そんな幸せな時間は、あとどれぐらい残っているのだろうか?もうすぐその場所は、本物のソフィア王女のものとなってしまう。

「それはいいですね。ソフィア王女のご懐妊も、すぐのことかもしれません」





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