Be My Valentine.
「Be my valentine.」
英語の先生かと思うほど綺麗な発音が耳に届く。
先生は私の右手を取って私の目を見つめる。
「今すぐ、答えがもらいたいわけじゃない。
来年、斎藤が卒業したら、その時にもう一度この言葉を言うから。
その時に斎藤の答えを聞かせてほしい。
俺の気持ちはその時まで変わらないから。」
「もう一度、その言葉を聞ける日を待ってるね。」
私が視界を歪ませる涙を左手で拭いながら言うと、先生は私の右手の指先にそっと唇を落とした。
沈みかけの太陽の光を背負った先生は、今までに見た中で一番かっこよくて、彼への思いがまた強くなるのを感じた。


