Be My Valentine.
私は耐えられずに目線を下げ、自分の震える手を見ていた。
「俺は本当に好きだけど、その恋を今は叶えちゃいけないんだ。
あと1年ちょっとは。
我慢しなきゃいけないのに、そいつが可愛くて可愛くて。
いつも誰よりも可愛がっちゃうんだ。
生徒には、平等に接しないと行けないのにな。」
私はその言葉に思わず顔をあげた。
「そいつ、誰よりも俺のとこに来てくれて。
誰よりも楽しそうに話してくれるんだよ。
...なあ斎藤。
そのチョコ、俺は本命チョコとして受け取りたいけど、それはだめか?」
「だめ...じゃない...
これは、私の先生への本命チョコです。」
私は震える唇で言葉をひとつずつ紡ぐ。
私の言葉がしっかりと声になされると、先生は袋を手に取り、今までにないくらい優しい表情を見せる。