Be My Valentine.
「...それでいいのか?」
「だって、渡す勇気がないんだもの。
先生こそ、好きな人からもらえたの?」
「いいや、まあまだ可能性はあるから。」
私はチョコレートの山の中で一際高そうなチョコレートの箱を見る。
じゃあきっと、森田先生じゃないんだ。
少し安心している自分がいた。
先生が好きな人がいる、というのは前に聞いたことがある。
質問に来て以来、度々ここに来るようになって仲良くなったからか教えてくれた。
それを聞いたのはちょうど彼に惹かれはじめた頃だっけ。
それでも、この好きという気持ちにブレーキがかけられなかった。
私のこの恋が叶わない理由は、私と彼が生徒と教師だから、そして先生には好きな人がいるから。
「まあ、もらえなくても。
来年もらえればいいし、ホワイトデーに俺から何か贈ってもいいかなって。」
「そっか、その人のこと本当に好きなんだね。」
「ああ。」
先生の声色は優しかった。