潔癖女子の憂鬱~隣人は、だらしない男でした~
「それと、ベッドルームには絶対入るなよ?」
「え? 隅々まで掃除していいって言ってたのに?」

「じゃあ、俺もベッドで仮眠取っていいのか?」
「はぁ~? 何言って……」

「男だって侵入されたくない不可侵領域ってもんがあんだよ」

そういうものなのか、と納得しそうになったが、イヤイヤと思い直す。

「だって、廊下とかのような汚部屋ならしておかないと……」

きっと、体が休まらないだろう。それに、出来るだけ綺麗にして部屋を渡したい。
自分の部屋に虫が侵入しない快適な生活を送るために。
すると、譲は口の端を上げニヤリと笑う。

「心配すんなって。ベッドルームだけは綺麗なんだって、あとは汚ねぇけど」

そんなドヤ顔で言われても説得力があるのかないのかわからない。
けれど、「絶対入るなよ」と念を押されてしまった。

渋々了承した舞は、テーブルの上に置いていたサンドウィッチに目をやった。
せっかく作ったのに、無駄になるのは忍びない。
いくら無礼な態度の連続だとしても、食べ物に罪はないのだ。

「5時まで部屋お借りするので、もしお腹すいたら食べてください」と、ため息まじりに言う。
ソファーに横になっていた譲が、体を起こし座り直した。

「これ、俺のために作ってくれたのか?」
「まぁ、そうなりますね。我が物顔で私の家を使う人に作ったなんて、不本意ですけど」

不貞腐れた顔をしながら、「じゃあ、17時に」と伝えた舞は、掃除用具を持ち部屋を出た。
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