潔癖女子の憂鬱~隣人は、だらしない男でした~
「いや、上出来じゃねぇか?大変だっただろ?」
「まぁ……。初め部屋に入った時、私じゃ手に負えないかもって思って、なんていう部屋に住んでるんだって思いました」

「だろうな。俺、だからやんねーし」

だからやんない? 開き直ってるし。もう、なんなの?

廊下のところどころに靴下が片方だけあったり、どういう風に生活したらこんなに汚くなるのか理解できない。

「だからやんないじゃないですよ」
「結城さん、あんた俺の母親みたいだな」

「私は、譲さんみたいな子供は欲しくないです。きちんと自分のものは片付けるような……」
「あーわかるわ。キッチリカッチリだろ? 好きなタイプも、そんな感じだろー」

「ですね。譲さんとは真逆です!」
「でも、そんな男付き合ってても面白くないだろう。きっとそういうヤツはデートだってマニュアル通りのことしかできねぇんだぜ」

と、譲は大きな口を開けて笑う。

ガサツで本当に失礼な人だな。けっして舞とは交わることはない人種だ。

「大丈夫です。私は、マニュアル通りが安心するので」

これ以上ここで無駄話をしていたら、ムカムカが募るばかりだ。
自分の役目は終わったのだから、話を切り上げて早く帰ろう。

「じゃあ、私はこれで失礼しますね」

バケツの水を捨てた舞は、しゃがんで掃除用具をまとめだした。すると、舞の目の前に譲がしゃがみ「なぁ」、と声を掛けてきた。
視線を上げ首を傾げる。

「来週も頼んでいいか?」
「来週?」

「そ。来週。どうせ、結城さん暇だろ?」
「私が暇とか勝手に決めつけないで下さい」

「じゃあ、予定あんの?」
「…………」

予定はないけど。確かにないけど……。勝手に決めつけるのがムカつく。

ーーけど……

振り返りった舞は、リビングを見やる。
あの魔窟を片付けないと気が済まないのは確かだ。譲に向き直り決意したように口を開く。

「仕方がないですね。掃除が中途半端ですから。それに、また散らかされてたら嫌ですしね」
「ヤッタ!ラッキー!」

「ラッキー?」
「いや、助かるなぁ……」と、言い直した譲は、気まずかったのかそっぽを向いた。
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