潔癖女子の憂鬱~隣人は、だらしない男でした~
声の主へ視線を動かすと、里崎が驚いた顔をしながら近づいてくる。

「めずらしいね、ここでご飯?」
「はい。実は、待ち合わせで」

「まさか、デートとか?」

フルフルと首を振る。

「違いますよ。ちょっと、ボランティアをしてまして、そのご褒美の食事会なんです」
「ボランティア?」

「はい。頼まれてマンションで掃除をしてまして」
「管理組合的なアレ? 結城ちゃんマンション買ったんだもんね、そっか。分譲だとそういうこともあるのか……。面倒だ」

嘘はついてない。

赤の他人の部屋を掃除をしてます。しかも、男ですなんて、口が裂けても言えない。
やましい関係では一切ないけれど、私も最初理解できなかったのだから、譲と舞の関係は他の人は絶対に理解できないだろう。

「まぁ、それも今週末で終わりなんですけど、ね」

目を伏せ、グラスを取り水を一口飲む。

「んー、なんだか寂しそうだね」
「寂しい?」

「そう、なんか憂いを帯びてるっていうか、いつもの里崎ちゃんの俺の話をバサバサ斬ってく感じとかさ、呆れた視線向けてくるとかさ、それとは全然違う」
「え……」

譲を待っているこの時間が過ぎてく度に、終わりへのカウントダウンで少し感傷に浸ってたけれどーー

「あっ!そっか、ここの照明少し暗くってオレンジ色だからそう見えたのかも」
「……はい?」

何言ってんの、この人!と思いながら、里崎を睨みつける。
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