潔癖女子の憂鬱~隣人は、だらしない男でした~


「あぁー、どうしよう、どうしよう、どうしよう」

ファミレスで食事を終え、一緒にマンションまで帰ってきて「またあした」とさっき別れたばかりだった。
部長が食事をしている間も、心臓がバクバクいって落ち着かなかった。何か話した気がするが、緊張でいまいち覚えていない。

いまだに信じられなかった。

隣の家の壁に視線を送った舞は、深いため息を吐く。

ーーこの壁を隔てた隣に部長が住んでいたなんて。

言動も容姿も真逆の部長がまさか譲だとは思ってもみなかった。
それに、初めの舞の態度はきっと最悪だった。
部長は、いつから自分だと気づいたのだろうか。
乗り込んで行った時も、メガネは掛けていたが特に変装もしていなかったし、丁寧に苗字も名乗っている。

きっと、はじめからわかっていたのだろう。

なのに、会社では普段通り接してくれていた。
悪態をついて罵った舞に嫌な仕事を振ることもなく、いたっていつも通りだった。
だから、まさかと思ってすごくビックリした。

でも、もう無理だ。

正体を知ったからには、やっぱり今まで通りの関係でいられるはずがない。

日曜日がラストで良かったのかもしれないな、と目を伏せた舞は、ヒールに手をかけ靴を脱ぐと、玄関に上がった。
< 53 / 62 >

この作品をシェア

pagetop