潔癖女子の憂鬱~隣人は、だらしない男でした~
***

早く日曜日を迎えたい、迎えたくないという気持ちがごちゃ混ぜになって、気持ちを整理できないまま当日を迎えた。

いつものように14時ちょうどにチャイムが鳴った。

「こんにちは。どうぞ、上がって下さい」
「あぁ」

いつものグレーのスウェットに、裸足。
これで見納めかと思うと胸がキュッと、きしむ。

「えっと、いつものように軽い食事置いてあるので食べて下さいね。じゃあ、私は最後の掃除を誠心誠意務めさせていただきます。じゃあ、また後ほど」
「あぁ」

「鍵、借りてもいいですか?」
「あぁ」

譲から鍵を受け取り、玄関に置いておいた掃除用具を持って部屋を出る。
玄関を出て10秒。隣の部屋を開けてドアを閉めた。

ーー譲さん「あぁ」しか言わなかった。

昨日の仕事中も、最低限の会話だけ。
確かに、舞のペアは里崎だ。けれど、譲とも1日に数回会話を交わすことはある。
それが木曜日の朝以来、一切なかった。

今後、ずっと口をきかないということはないとは思うが、何もなかったかのように接することが出来るだろうか。

正直、自信がなかった。

「あー……、ヤメヤメ。今日は、綺麗にして部屋を渡す約束してるんだからっ!」

靴を脱いで譲の部屋に上がった舞は、想いを断ち切るように掃除を始めた。
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