潔癖女子の憂鬱~隣人は、だらしない男でした~
掃除の途中で、もう二度と一緒に食事をすることもないし、ご飯を作ろうと思い立った。
確か、好きなものは茶碗蒸しって言っていたはずだ、と急いでスーパーへ行き材料を揃える。足りない調理器具は、そーっと舞の部屋に戻り調達をした。

戻ったついでにソファーで寝ていた譲の顔を覗き込む。
舞が覗き込んでいるのも気づかずに熟睡していて、疲れているのか寝息を立てていた。

ーーなんだ。寂しいのは、私だけか。

ちょっと悔しい気がしたけれど、一生会えなくなるわけではない。

明日、会社に行けば普通に上司として会えるのだ。
結局、そういうことなのだろう。

日曜日の掃除をしないと言った時も、片付けてくれる家政婦が一人減ったくらいにしか思っていなかったのかもしれない。
自分も、気持ちを切り替えないと。

本気で好きになる前でよかった。
まだ恋のつぼみで、花開いていないのが救いだ。
部長のことだって、手の届かない観賞用って思ってたんだし、前の生活にもどるだけなんだから、と心の中で舞は何度も呟いて言い聞かせた。
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