幼馴染に恋をして(心愛ver)
六年生の2月
私達中学受験生は過酷な3日間を送っていた
1日に本命。
午後から第二志望。
2日に第二志望もしくは第三志望。
3日に合格発表。
私は両親との約束で1日の明応中学一本勝負だった為
試験終了から合格発表まで心臓がバクバクしてピリピリした空気の中で過ごした。
合格発表の掲示板に自分の番号を見つけた時はガッツポーズを自然にした。
少し前方に知った背中を見つける。
その背中を注意深く見ていると彼も合格したのが解った。
やっぱり彼と私は繋がっていると思った。
その背中が此方を向いて私を見つけた時は一瞬、
吃驚していたが直ぐに何時もの顔に戻っていた。
私はこの瞬間の為に何度も何度も鏡の前で練習した吃驚した顔を向けた。
そして考えに考えたピースサインを彼にした。
彼も同じポーズを返してくれた。
私達の運命の糸が点線から細い糸になった。
彼と同じ中学に受かったからと言って
その事を口にするのは得策では無い事は解っていた。
この年齢になると彼の優しさは一種の壁だと感じるようになっていたから。
皆に優しいのはそれ以上の侵入を抑えるため・・
本当は毎朝、中学の事を話したかったがグッと堪えて
知らぬふりをし続け中学にも、彼にも興味が無い素振りをしていた・・
実際は通学電車を検索して何時の電車に乗れば間に合うか、
彼の性格ならギリギリの登校は無いだろうから何時に家を出るのか・・・
必死にシミュレーションをしていた。
小学校と違い集団登校では無いので彼は私を待ってくれない・・
私はエレベーター前に偶然会って一緒に登校するのが
スマートにこの先も彼の隣を歩けるベストな方法。