ロゼリアの黒い鳥
「身体を清めよう、ロゼリア」
巻いていた毛布を取りさらい、頭のヴェールを外す。
手から手袋を取り、背中で編み上げになっていた紐を解いた。
徐々に素肌を晒していくロゼリア。とうとう下着をもギデオン自らが脱がせても、抵抗することなくされるがままになっていた。
自らも穢れた服を脱ぎ、一緒に浴槽に入る。
ロゼリアは目を細めて気持ちよさそうな顔をしながら、ギデオンの胸に頭を預ける。
最初に対峙したときも思ったが、彼女は随分と小さくなってしまった。いや、自分が大きくなったのか。
昔は背は同じくらいで、男女の差はあれどもここまで極端に体格差を感じなかった。
柵を隔てでしか会えなかったが、背もギデオンが少し高いくらいで、重ね合わせた手も大きさはあまり変わらないくらだった。
それなのに今は、少しでも力を入れようものならぽっきりと折れてしまいそうなほどに薄くて小さい。
もう五年前とは違う。
ロゼリアも、そしてギデオンもまた変わってしまったのだ。
自分は平然と人を殺せるようになったし、彼女はギデオンを忘れ、そして心をも忘れてしまった。